神沼審査委員長講評

予選審査委員会において、神沼審査委員長から講評を頂きました。
各チームに通知される審査講評と合わせて、それぞれの作品作成に反映させてください。

予選審査で気づいたこと

課題部門のテーマは、2年目ということもあって、扱い方は、的を得ていたと感じました。説明もかなり解りやすくなったと思います。しかし一方で「何をしたいのか」、「どのように使えるのか」など、プロダクトにのみ注目して、問題解決のプロセスや、使う理論との関係を述べることが疎かになっているものもかなり見られたことは残念です。

自由部門に関しては、応募数が多かった割には、「アイデアは面白いが、説明が伴っていない」、あるいは「説明は分かりやすいが、独創性が弱い」などと感じる作品が多かったように思います。具体的には、
・現状の調査と問題状況の分析がしっかりできているかの観点
・その上で、問題を解決する方法として、どのような理論やツールが使えるのか
・何をどこまで完成するのかという観点では、プロダクトの達成目標を具体的に述べているかどうか
・その目標を実現できるプロセス(処理手順など)を解りやすく示しているか
・それはスケジューリングに照らして妥当な内容と云えるのか
などの各観点において、どれかの説明が十分ではないと感じたケースが目立ったということです。

競技部門については、手の内を明かさないために内容のコメントは控えますが、審査員への訴え方は上手になったように感じました。ただし、若干ですが説明が杜撰ではないかと思われるものがありました。これらに関しては、審査の結果、本選に進めないとの判断をさせていただきました。スケジュールの書き方については、もう少し学習して欲しいと思いました。

最後に、全体に共通することをまとめておきます。毎年伝えていることですが、課題にも自由にも、タイトルを見ただけでは作品のイメージが湧かないものがありました。タイトルは作品の要であるということを忘れないでください。
競技も含めて、似たような発想がいくつかありました。よく云えば、最近話題になっているアイデアや技術に通じているといえますが、実際は「独創的ではない」と評価される要因となり得るように思いました。
今回も分析がよくできているものは、総じてまとめ方が解りやすくレベルも高かったように思います。調査と分析が重要であるといえそうですね。

それでは、本選に向けて作品のクォリティを高めることを期待しています。

2015年6月27日
審査委員長 神沼靖子