第37回香川(高松)大会 課題部門テーマについて

テーマ  「ICTを活用した作業効率の向上」

 ここ数年、日本は急速に高齢化が進行しており、2040年までに総人口の約35%が65歳以上になると見込まれています(*1)。このような超高齢社会に直面する中で、総労働人口の減少は深刻な課題となっています(*2)。労働力不足は経済の停滞を招き、社会全体の活力を低下させるリスクを孕んでいます。総労働人口が減少する中で、持続可能な経済成長を実現するためには、限られた労働力を効率的に活用することが不可欠です。

 これに対し、日本政府は「働き方改革」(*3)を推進し、多様な働き方を支援するための施策を実施しています。これには、テレワークの推進や、AI・ロボティクス技術の活用による業務の効率化、柔軟な労働環境の整備などが含まれます。特に、AIやロボティクス技術を活用した業務の効率化は、労働力の不足を補い、多様な人々が持続的に活躍できる職場環境を創出するために重要です。例えば、製造業の生産ラインの効率化、オフィス作業の自動化、農業の生産性の向上(*4)など、さまざまな分野での応用が考えられます。

 一方で、政府、企業だけでなく、個人やコミュニティレベルでもさまざまな効率化に関する活動が重要です。例えば、個人のタスク管理、時間管理、コミュニティのプロジェクト管理などが挙げられます。システムの設計には、プログラミング言語やツールの選定、データ収集と分析、アルゴリズムの開発、ユーザーインターフェースの設計などが含まれます。また、実際にシステムを動作させ、効果を測定するための評価方法も考慮する必要があります。これらを通して、高専生たちは問題解決能力、プログラミングスキル、チームワーク、そして実践的な応用力を養うことができ、高専生たちの学びの幅を広げ、将来のキャリアにおいても役立つ知識とスキルを身につけるための貴重な経験となるでしょう。

 第37回全国高専プログラミングコンテスト課題部門では、「ICTを活用した作業効率の向上」を目的とした作品を募集します。作業の効率化は、身近なことから社会全体に至ることまで幅広い問題が対象となります。高専生の独創的な発想が、労働力が減少していく時代を迎える我が国の経済成長に寄与することを期待しています。

以上

*1 総務省:統計トピックスNo.138 統計からみた我が国の高齢者 ―「敬老の日」にちなんで ―

https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics138.pdf

*2 国土交通省:国土交通白書2024第1節 本格化する少子高齢化・人口減少における課題

https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r05/hakusho/r06/pdf/kokudo.pdf

*3 厚生労働省:「働き方改革」の実現に向けて

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

*4 農林水産省:(参考資料)農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案(令和6年3月)

https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kensho/attach/pdf/18siryo-13.pdf